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「⋯美澄⋯⋯様⋯⋯?」 「へ⋯⋯?」 目を擦りながら起き上がると、目が点になっている美澄と目が合った。 「今、様って言った? 様⋯⋯って、ひひ⋯⋯っ」 ふるふると肩を震わせたかと思うと、腹部を抱えて笑い出した。 きょとんとした。 何がそんなに面白いのだろう。 びっくりするぐらい天を仰ぐように顔を上げて大口で笑っていた美澄は、次第に膝を着いて地面を叩きつけ、大笑いしていた。 呆然とその様子を見ていると、「ははっ、ひぃー」と引き笑いしていた美澄が深く息を吐いた。 「俺、様付けされるほど偉くなったんか」 ひひっと、涙をぐいっと拭いた美澄が「いやぁ、ごめん」と言ってきた。 「昼になったから呼びに行ったら寝てて、起こしたら第一声がそう言うとは思わなくて⋯⋯っ、そんな寝ぼけ方があるぅ? って思ったら、笑いが止まらなくて⋯⋯っ」 そう言いながら思い出したのか、笑い始める。 寝ぼけることはよくあったが、こんなに笑われるとは思わなく、恥ずかしくなった姫宮は頬を熱くする。 呼ばれた声が違うと分かったのに、混合してしまって「様」付けをするという失態を犯してしまうだなんて。 いつの間に寝てしまったのも驚きだが、今回のことを踏まえて、これからはなるべく外では寝ないように努めないと。 「てか、笑っている場合じゃなかった。昼飯の時間が決まっているみたいだからさ。さっさと行かないと不参加扱いされるって」 「え、そうなんですか」 「早く早く」と急かす美澄に慌ててロッカーと更衣室に鍵を掛け、その際に入れ忘れた携帯端末を持っていることに気づいたが、「それはいいんじゃない?」と言われたのでそのまま持って行くことにした。

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