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食堂と呼ばれる場所は研究室を出て、その隣の部屋だという。 美澄の後ろに着いて、その場所へと入った。 まず目に入ったのは、広大な空間に多くの研究員と同じ被験者らしい人達が長テーブル席と円形テーブルが等間隔に並んだところにそれぞれ固まって座って食べている様子だった。 「めっちゃ人がいんじゃん。あ、こっちで頼めるみたい。愛賀は何する?」 そう言って美澄が見ている方向を一緒になって見る。 それはフードコードのように壁にメニュー表が掲げられ、その下に注文を受ける人のカウンターがあり、その奥には調理係がいた。 メニューは豊富なようで、和風や洋風、中華のものまでないものはないといったものであったが、選択肢が増えれば増えるほどすぐに決められない姫宮にとっては、たくさんあるのも困りものだった。 家の時のように誰かが作ってくれて、出してくれればいいのにとさえ思ってしまうぐらいに。 「俺はラーメンにしよー」 美澄はすぐに決めてしまった。 すぐに決めないと。 「ゆっくりでいいよ〜」という美澄の声を傍らに、内心焦っていた姫宮は視線をさ迷わせる。 美澄はラーメンにしていた。 ラーメン⋯⋯。 『ラーメン』の文字を探す前にある文字が目に映った。 「私はオムライスにします」 「いいねぇ〜」 並んだ美澄の後に続いて、カウンターで注文し、頼んだものを受け取ると、後ろを振り返る。 「どこにしようかな〜」 美澄が見渡す。 一人で食べたいというのが本音だが、美澄に対して失礼であるため、「あ、あそこちょうどいいかも」と言った丸テーブルに対面する形で座った。 「まー、普通に美味」 座るや否や早速食べ始める。 姫宮は 「手を合わせていただきます」と手をつけた。

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