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「大変でしたね」
「まぁ、大変だったし、第二の性面倒だって思ったけど、こうして何とか生きているから人間ってすごいよね〜」
軽い調子で言う。
オメガじゃなければと思うことが多々あったが、美澄のように楽観的な考えでいればそこまで悲観することはなかったかもしれない。
家出することになったとしても、その先でまともな場所にいられたらの話ではあるけれども。
「⋯⋯すごいですね」
「ね、すごいよねー」
ただ姫宮が言ってきたからそう返したというような適当な返事は、たとえそうであっても特段気にしなかった。
「そろそろ昼を済ませておかないと、薬を飲む時間に間に合わなくなるんだった」
急に忙しなくかきこむ──とはいえ、美澄はスープしか残っていなさそうだった──彼につられて慌てて、残り半分程度のオムライスを口に放り込む。
先に食べ終えていた美澄が「そんな無理して食べなくてもいいんじゃない?」と言ってきたが、「けど、」とその先を言おうにも口いっぱいに入れたせいで喋れずにいると、「仕方ないなぁ」と言い、最後の一口分を食べてくれたことで何とか完食といった形で食べ終えた食器類を返却口に返し、指定された抑制剤を飲み、事なきを得た。
「慌ただしかったね」
「そうですね⋯⋯」
なんてことないといった調子で言う美澄にひと息吐きながら返事をする。
それから一時間安静した後、夕方頃には解散した。
治験初日は慌ただしくも緊張が解けないもので、どっと疲れたのであった。
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