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そうだ、こないだの大河の写真を送ろう。
そう思い立って早速、口の周りがチョコまみれになっている大河の写真を送ろうとした。
ところが、それをどう送るのか分からなかった。
そのやり方を美澄に教えてもらおうとしたが、美澄は真剣な顔で携帯端末に向かっているため、易々と聞けず、かと言って周りに聞ける人はいなかった。
せっかく話題があるのに、諦めるしかないのだろうか。
悲しげな顔をして、再び御月堂とのチャット画面に戻った時だった。
メッセージを送る欄に写真マークがあった。
もしかして。
それをタップすると今までの撮った写真が画面に出てきた。
緊張した面持ちで送りたい写真をタップし、紙飛行機らしいそれを押した。
シュポっと軽い音がし、送りたい写真が画面に現れた。
恐らくできたらしかった。
できた、と小さく安堵しているとその横に『既読』と出てきた。
それは相手が送ったメッセージを今見ているというもの。
ということは、御月堂はすぐに見ているということだ。
『これは大河の誕生日の時の写真か? だが、食べているケーキは違うな。また違うケーキを食べたのか?』
慌てて写真の後にメッセージを送ろうとしたが、御月堂の方が早かった。
それにしてもこんなに早く既読が付き、メッセージを送ってくるとは思わなかった。
たまたま見ていたということなのだろうか。
『松下の奥さんが買ってきてくださいました。美味しかったです』
手間取りながらも何とか打てたメッセージを送った。
『そうか。ちなみに何というケーキ屋だ?』
すぐに御月堂から返信が来る。
早いと思ったのと同時に首を傾げた。
何だったか。
江藤と玲美との会話を思い出そうとした。
「何難しそうな顔をしてるの?」
顔を上げると美澄がこちらの様子に気づいて声を掛けてきた。
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