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「あ、え⋯⋯と、こないだ食べたケーキ屋さんの名前が思い出せなくて⋯⋯」
「どこで買ったか覚えてる?」
「⋯⋯友人が買ってきたので、そこまでは⋯⋯」
「どんなパッケージが書かれてた?」
「すごくシンプルで、名前は英語で書かれていたような⋯⋯」
「あ〜⋯⋯なるほど⋯⋯」
腕を組んで思考を巡る美澄がすぐ、「分かんないや」とお手上げをした。
「あ、そうですか⋯⋯」
「写真に写ってないの?」
「写真、ですか⋯⋯?」
フォルダを開いて、食べた日の写真を一枚ずつ見ていくが、ちょうど箱は写っていなかった。
「ないですね⋯⋯」
「そうか⋯⋯」
一拍置いた美澄がこう言った。
「まあ、素直にその友人さんに訊くしかないね」
「はい、そうですね」
玲美に『すみません。こないだ食べたケーキ屋さんの名前は何というのですか?』と送った。
御月堂には、『玲美さんに訊いてみます』と送った。
「俺、結局何にも役に立てなくてごめんねぇ?」
「あ、いえ、そんな⋯⋯。美澄さん忙しそうでしたのに」
「ちょうど終わったし、さっきから愛賀の視線が気になったから。で、何? 何か訊きたいことでもあったの?」
「相手にどう写真を送ればいいのか分からなかったのですが、何とか送れたので」
「そう、なら良かった」
微笑みにも似たような顔を見せた。
まるで自分のことのように嬉しそうにする彼に虚を突かれた。
「あ、だからそうなんだぁ」
何かを思い出したかのように、そして納得したような口調で言う美澄に「どうされたのですか?」と訊くと、彼は言った。
「何か思い詰めたような顔をしてんなーと思ったら、驚いたような顔をしたかと思えば嬉しそうな顔をしていて、何がどうしたのかなぁと疑問だったんだよね。それが今分かった」
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