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それはつまり、写真の送り方を訊こうにも忙しそうだから訊けずじまいであったところから美澄が見ていたということになる。
気づかれていたのか。
「ここに来てから初めてあんな顔をしていたから、思わず見ちゃったけど、そんなにも嬉しいことだったんだねぇ」
面白いと口角を上げて笑う。
気付かぬうちにじっくりと見られていたのだと思うと恥ずかしく感じて、頬を赤くした。
「失礼な態度を取ってしまいすみません。つまらない人間ですので⋯⋯」
「いやぁ? 面白いと思うよ」
あっさりとした言い方で返される。
そんなはずがと否定したくなったが、昨日のそのような旨を発言していたことから、美澄がそう思うならひとまずはそういうことにしておこうと思う。
「ま、嬉しいと思うことはいいことだよ。俺も今回のイベを逃さずできたし、時間潰しにゲームやれる治験最高だよ〜」
頬を染め、嬉しそうに笑う。
いつもの、何故か背筋がゾッとするような不気味な笑いではない、自然な笑い方に思わず見てしまった。
そんな笑い方ができるんだ、と。
「⋯⋯美澄さんも楽しそうで何よりです」
「へっへっへっ、そう?」
瞬間、眠たそうな目がじろりと、口元を歪めた"いつもの"笑い方となった。
何故そうなるのだろう。
自分でも分かるぐらいのひきつり笑いをしたのであった。
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