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「絵を描くのもいいけど、写真を撮りたいって言うもんですから、わたしが買ってあげました」 「え、小口さんが買ってくださったのですか。⋯⋯あ、お金はお返しします⋯⋯」 「いえ、いいんですよ。時期が時期なのであげました」 「時期⋯⋯?」 「今は12月ですよ」 「⋯⋯あ」 そういえば、そろそろ時期だったか。 12月に入ってから街はそのような装飾で彩られ、暗くなった途端イルミネーションが点灯され、より鮮やかになった街に目を奪われるもので、実は夜遅くに帰るのが楽しみでもあった。 大河の誕生日がクリスマスよりも前であるのに、街がそのような雰囲気であるから、毎日がクリスマスの気分であったのも事実で、現実ではクリスマスの日を迎えてないことを改めて思い知らされる。 それは同時に今度はクリスマスプレゼントはどうしようと悩まされるものだった。 「気を使ってくださり、ありがとうございます」 「いえいえ〜、このぐらいのことは。⋯⋯あ、お礼と言ってはなんですが、わたしもプレゼントが欲しいですね」 「え、プレゼントを?」 「はい、ゲームソフトを!」 「⋯⋯やけに大河様に優しいと思ったら、そんな魂胆ですか」 ダイニングにいたらしい江藤が高らかに言う小口を凄みのある怒声で言ってきた。 その聞いたことのない声に自分に言われているわけでもないのに、身を竦ませる。 「え〜? いいじゃないですか〜。どんな年齢になっても人からもらえるのは嬉しいものですし」 「と言っても、姫宮様に言うだなんて図々しいですよ! 私なんて逆にあげたいぐらいなのに!」 「それは別にあげたらいいじゃないですか」 「今のような状況でそのようなことを言えると思いますか」 揉め始めているが、小口はのらりくらりと躱すように返し、そのことに江藤はカッとなっているようで語尾を強める。 安野の時ほどではないが、このままにしておくわけにもいかない。 「私は別に構いません。小口さんには色々とお世話になってますし」と言おうとした、その時。

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