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101.
「ちょうどお茶が入りましたので、こちらにお掛けになってください」
「ありがとうございます」
「姫宮様も」
「はい」
玲美に続いてテーブルの方へ向かい合う形で座ると、目の前にお茶が置かれた。
それを息を吹きかけて冷ましながら飲むと、ホッと小さく息を吐いた。
「美味しいですね」
「本当に美味しいです」
「お二人に喜んでもらえて嬉しい限りです」
噛み締めるように言った安野が「ごゆっくりしてください」と一礼し、去っていった。
それを何となく見ていると、「姫宮さん」と声を掛けられた。
それも小さな声で。
やや身を乗り出していることから、真似してそうすると、玲美は言った。
「⋯⋯大河君のクリスマスプレゼントは用意できました?」
今日はクリスマス。
お泊まりをさせるのにはちょうど良いと玲美が提案し、了承した際、次にプレゼントはどうするかという話になった。
玲美は伶介にそれとなく聞いて、すごろくのゲームソフトを用意したのだという。
なんでもそれで大河と遊びたいからと。
自分のことよりも大河のことを考えてくれているその気持ちに嬉しくなりつつも、次に大河のクリスマスプレゼントはどうしようかと悩んだ。
それはこないだ大河の誕生日をやったばかりで、クリスマスはクリスマスで欲しいものはあるのかと思った。
恐らくサンタのことを信じているであろう大河自身、何か欲しいと思う物はあるのだろうかと。
小口にそれとなく聞いたが、彼女は「ハニワだったらなんでもいいんじゃないですか?」と答えた。
確かに、大河はハニワには目がない。しかし、ほぼ既製品は持っているであろうから、被ることだけは避けたかった。
だとしたら、また手作りをと思うが、さすがにそれだとサンタという存在を信じなくなるかもしれない。
だとしたら、他に何かあるのか。
悩みに悩んだ姫宮は、持っている物を照らし合わせた結果、ハニワのボードゲームなる物を用意した。
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