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103.
「ままー! きてー!」
遠くから伶介の呼ぶ声が聞こえた。
「あら、何かしら」と涙を拭いた玲美が「どうしたの」と訊ねた。
「てつだってほしいことがあるの」
玲美と顔を見合わせた。
「行きましょ」
「はい」
共に行くと、ソファ前のテーブルでパズルらしきものを広げていた。
「これ、いつもやるぱずるとちがってむずかしくて」
そう言う伶介達の手元を見ると、揃えたパズルを立ててそれを伶介が支えていた。
普通パズルというのは平面でやるものだ。まるで立体ものを作っている不可思議な行動に玲美と揃って疑問符を浮かべていた。
「伶介、何のパズルをやっているの?」
「このパズルをやっているの」
そう言って、テーブルに置いていた箱の蓋側を玲美に見せる。
受け取ったそれを一緒になって見てみる。
至ってシンプルなハニワの立体パズルの写真らしきものが印刷されていた。
「ハニワの立体パズル⋯⋯?」
玲美が口にした時、あっと声を上げた。
「姫宮さん、どうしたのですか?」
「あの、これ、もしかしたら⋯⋯」
玲美の耳に手を添えて小さく言った。
「⋯⋯大河の誕生日プレゼントとして慶様が贈ってくださったものです」
「⋯⋯あら、そうなのですか」
小さく頷くと、玲美は伶介の方を向いた。
「このパズル、どこに置いてあったの?」
「たーちゃんのおもちゃおきばにあったよ」
伶介に倣って大河も指差す方向に姫宮達もまた視線を向ける。
「あそこでおもちゃをえらんでいたらみつけて、たーちゃんとあそんでみようって」
「そうなの」
今までなかった物に大河は深く考えることなく、ハニワであるから、伶介と遊んでみようということか。
本当にハニワに目がない。
贈り主が誰であるかは野暮であるため、その事に関して触れてないこともあり、この際言わないでおいた。
こないだの誕生日の時の御月堂と大河との関係を玲美も分かっているようで、言わないでくれているようだった。
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