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「このできたピースは、こっちにも合うかな」 まだどれともペアになってないピースを探しては大河に、「やってみて」と渡した。 ペアとなったピースにどこが合うのか、迷うような手つきだったのがやがて、ある箇所にはまった。 「あったね」 微笑みかけると、身体を左右に揺らしていた。 「あの、ぼくがもってるぴーすってそれにあいますか?」 そう言ってきた伶介が3ピース揃ったそれに該当する箇所にはめた。 途端、伶介はぱっと笑った。 「ここだったんだね! やっとみつけられた!」 「あら、ここだったんですね。道理で見つからなかったのですね。ですけど、ふふ、そんなところまで仲良しさんなんて運命に感じてしまいますね」 冗談っぽく、ともいえない二人に笑いかけていた。 第二の性のような言い回しにも思えるその言葉は、それを抜きにしてもこの二人はこの先も変わらずに仲良くして欲しいと密かに願った。 それから二人は「これはどう?」と伶介が合うと思うピースを見つけたり、大河も自分で見つけたピースがはまる箇所を探していた。 いつの間にか二人で真剣になっているのを玲美と静かに見守っていた。 そうだ、写真を撮ろう。 ふっと思いついた姫宮はポケットから取り出し、大河に向けた。 「写真ですか? いいですね。なら私も」 玲美もまた我が子を撮りまくっていた。 その音で気づいた大河が振り返り、編みぐるみを片手に抱えてピースをした。 まだ上手くできないピースに愛おしく感じた姫宮は、小さく笑いつつその様子を切り取った。 「たーちゃん、ぼくもいい?」 頷いた大河にぴったりとくっついた伶介がこちらに笑顔を見せる。 「あらまあ、ふふ。二人とも可愛いね」 嬉しくて堪らないといった玲美が連写していた。 姫宮も嬉々として応じてくれる伶介と玲美の少なからずの圧に押されながらも、仲の良い友達と一緒に撮ることが嬉しそうな大河の瞬間を余すことなく撮り続けていたのであった。

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