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「⋯⋯私のところは、アニメとかバラエティものとか、あとドラマだったり、歌番組もよく観ることが多かったですね」 「そうなのか」 聞いても良かったのか。そんな驚いているような声音で言っているように聞こえた。 「アニメは大河がよく観ているあれのことだろう。バラエティは何だ」 「クイズ番組だったり、芸人の方がお笑いしたり、芸能人同士でトークしたりと色んな番組の総称といったところでしょうか」 「なるほど」 相槌を打った御月堂はテレビの方へ視線を戻した。 姫宮が笑ってしまったせいで話すことになったが、ドラマを観たかったのかもしれない。 やはり真剣な眼差しで観始めている彼を横目に、姫宮もテレビに向けた。 土砂降りの中、女性が泣きながらさまよっている場面が映し出されていた。 そうなったきっかけを観逃してしまったため、何故女性がそうなったのかは分からないが、誰かに酷いことを言われたのか何かなのだろう。 恋愛ものであれば、失恋したのかもしれないし、お仕事ものであれば、仕事で怒られてそうなったのかもしれないし、あるいは他のことか。 どんなジャンルであれ、かつて姫宮と会う前は人と深い仲を築くことはなかった彼が、ドラマを通じて人間性を知ろうとしているのが何とも感慨深い。 それは自分のおかげで少しずつでも変わろうとしていると思ったら、嬉しい。自惚れてしまう。 ドラマが終わるまでどちらとも何も言わず、観続けていたのであった。

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