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「俺はゲームで暇を潰すけど、愛賀は?」 「私は編み物をしていようかと」 「作るには最適だよね。いいものが作れるといいね」 「はい」 2週間もあれば、その間に上達するだろうし、いいものが作れそうな気がした。 それだけを考えると少しは楽しみに思えてきたかのように思っていると、「あと」と美澄は言葉を続けた。 「それでも暇になったり、何か聞きたいこととかあれば、こないだ交換した連絡先にメッセージ送ってもいいよ。ま、こっちのタイミングが合えばなんだけど」 マイペースであるのは彼らしいが、けれども気にかけてくれていることが嬉しく感じられた。 それでもなるべく美澄の邪魔はしないようにしようとも思った。 「お気遣いありがとうございます」 「まぁ、お安いことだよ。あ、着いたみたいだね」 降りる階を告げる機械音と共に扉が開かれ、美澄と共に降りた。 エレベーターの脇に白衣の人がいたようだった。目が合うなり、会釈した。 「お待ちしておりました。美澄さんに姫宮さんですね。今回の治験にご協力頂き、ありがとうございます」 軽くお辞儀した白衣の人につられて美澄と共に頭を下げた。 簡単に自己紹介をしたその人は「では、こちらです」と自分を先頭に歩き出し、その後を横に並んで着いて行った。 「この扉の先が2週間過ごして頂く病室となります。美澄さんはこちらに、姫宮さんはこちらの病室に入ってください」 「はぁい」 「はい」 壁と同じ白の扉の引き戸に手を掛ける。 「じゃ、愛賀。2週間後にね」 「はい。それではまた」 軽く手を振る美澄に姫宮は軽く頭を下げて応じる。 さっさと入っていく美澄の姿を見届けた後、姫宮は改めて目の前の扉に目を向けた。 ぐっと手に力が入り、緊張した面持ちでゆっくりと扉を開けた。

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