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全方位に監視されているため、ちょっとした変化でも気づかれてしまう。 あの頃は無表情に近かったはずなのに、すぐに顔に出てしまうのは厄介だ。 御月堂達の前では良いことなのに、今は悪いことのように感じてしまう。 気を引き締めないと。 改めて床に落ちた棒を拾った姫宮は、他のことに気を取られないようとにかく目の前の編み物に全神経を注いだ。 解れたついでに弛んでいる箇所まで糸を解いてやり直しつつ、先を進めた。 ハニワの胴体部分の半分程がそれらしい形になってきた頃、控えめに叩く音が聞こえてきた。 顔を上げると、「失礼します」と入ってきた。 今度は看護師らしき人が配膳車らしい物を押してやってきた。 「昼食の時間になりましたので、ご用意しました」 「⋯⋯え?」 時計を見ると、12時になっていた。 あれから時間が経っていたのか。 目に映ったことが信じられないままでいる姫宮のことを知ってか知らずか、看護師は続けざまにこう言った。 「今まではお好きなものを召し上がってもらってましたが、これからは姫宮さんの健康を考えた食事を提供させていただきます」 食堂を利用していた時は、毎日選ばないといけないことが少々苦痛に感じていた。 今回はそのストレスを感じない上に姫宮に合った食事を摂れるなら、良いとも感じられた。 「問診票に記入していただいたアレルギーがないようですが、もし食事をされた際そのような症状や口に合わないものがございましたら、遠慮なく仰ってくださいね」 「はい、ありがとうございます」 「13時頃に取りに来ますので」 軽く頭を下げる看護師に返すと、運ばれた食事に目を映した。 ご飯に味噌汁に焼き魚、それにサラダ、デザートとごくありふれた食事内容だった。

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