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なんて返せばいいのかと悩んだ末、『慣れたらいいですね』とだけ返した。
ため息を短く吐いた後、すぐに既読が付かないことから友達欄の画面に戻った。
それを眺めていると安野からメッセージが来ていたのが目に映った。
メッセージが来ていたのが朝頃であったが、全然気づかなかった。
すぐに見ると、『無事に着きましたか。ちゃんとご飯は食べれましたか。2週間会えないのは本当に寂しいですが、頑張ってください。ですが、本当に無理そうでしたら帰ってきてくださいね。安野はいつでもお待ちしております』
出立する際にも号泣し、──とはいえども大河が寝ているために流石に控えめにだったが、──行かないでとまるで甘えん坊の子どものように引き止めていたが、メッセージを読むと毅然としていて、それでいていつもと変わらない温かな気遣いを感じられた。
『すみません今気づきました。ご飯は何とか。お気遣いありがとうございます』
ご飯は本当は食べれなかったと正直に言ってしまったら、安野がどれほど心配するか。とはいえ嘘を吐くのも性分ではないため誤魔化すような言い方しかできなかった。
悪いことをしているような気分だとまたため息を吐いていると、安野から返事が来た。
『慣れない環境で心が落ち着かないと思います。返事はいつでも大丈夫ですので、お気になさらず』
見られているのかと思うくらい意表の突く返事に、ドキリとした。
ここに来てから感じる落ち着かなさは、他の人から言われてやはりそうなのかもしれないと思うようにした。
安野とのやり取りを終わらせ、再び友達欄を見ていると、『慶様』の名前をタップした。
話しそびれていたハニワの立体パズルの話題や、正月の挨拶を最後にやり取りをしていなかった。
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