135 / 184
135.
ハニワの立体パズルに関しては、御月堂も『贈った甲斐があった』と嬉しそうにしていた。嬉しくて仕事用の机に送った写真を飾っているとも言っていた。
こちらとしても送った甲斐があったと同じように嬉しく感じたものだった。
この身を震わすような嬉しい出来事が欲しいものだが、ここ1ヶ月の出来事は特にそれらしいことはなかった。
と言っても、愛しい我が子をただ見ているだけでもその感情が湧き上がる。
他の出来事と言えば、変わらずに寒さが厳しいこと、家にいることが多かったため、身に染みる寒さを感じたのがあまりにも久しぶりで、この感覚を忘れていたこと。
そのことを言おうと打ち込んでいたが、指を止めた。
何故、そんなにも外に出る用事があるのかと言われかねない。
大河を心療内科に連れて行くこと以外、基本的に家にいる姫宮が何故そうなったのかと詮索されそうだった。
アプリの時は誤魔化そうだったが、会った時にその話題を出されてしまったら、誤魔化すなんてできそうにない。
何か話題にしたい。
いつ返してもらえるか分からないけれども、それでも。
やはり大河のことで話題にしやすいと思った時、そういえば伶介が教えてくれている甲斐もあってか、大河の口から話すことが増えたという出来事があった。
ボードの機械音ではなく、可愛らしい口から一生懸命発しようとすることが愛おしく、頑張って、あともう少しと応援したくなるほどだ。
そして、大河が言いたいことが伝わった時、「言えたね」と頭を目一杯撫でて褒めてあげたりしていた。
しかし、何故か心療内科の先生に対しては相変わらず一言も話さず、姫宮にくっついたままなのだ。
その出来事を打ち込んでいるうちに自然と笑みを零していた。
それから少し経っても既読が付かないのを見た後、誰からも送られてこなかったことから、編み物を再び編み始めた。
ともだちにシェアしよう!

