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家にいる時は大体姫宮が一番に入ることが多い。 後から小口と入った大河が姫宮に髪を乾かしてもらいたかったり、今日こそはと姫宮と一緒に入りたがろうとする大河を主に小口が阻止している間にだったり、大河が夕飯前にしていたことを食べ終わってすぐにするからその間にと、そういった理由で一番風呂を頂いていた。 しかし、この2週間はどうしたって大河達が一番風呂になる。 まだこの時間帯は夕飯を食べ始めたばかりだ。 今日の料理は何かな。私がいなくても一人で食べれてるかな。 髪乾かすのは私じゃなくても大丈夫かな。 ハッと目が覚めたような感覚がした。 ふとした時に思考の海に、それも鬱々とした余計なことを考えてしまう。 ついついこんな頭になってしまうのは、負の感情に囚われているせいでもあり、寂しがっているからだろう。 大河が寂しがっているかもしれないと思う前に、自分がそうなってしまっている。 自嘲した。 こんな思考を振り払おうと、ベッドに潜り込んで部屋の電気を常夜灯に切り替え、ぼうっと眺めていた。 病室であるから真っ暗かと思っていたが、そうでなくて良かった。しかし、どことなくそわそわして眠れない。 何となく手に取った携帯端末からメッセージアプリを開いた。 当たり前に御月堂とのやり取り画面にし、それからゆっくりと指を滑らせた。 大河が話すことが増えた話から見返し、いついつに来るという旨、玲美がくれたケーキの話、そして大河の誕生日の時のとっておきの写真。 やり取りしたのが少なくすぐに見返すのが終わってしまう。 もっと何か話したい。なんてことないことでもいいから。 けれども、そんなにしたら多忙の彼からしたら迷惑だろうか。 おやすみの挨拶ぐらいは許されるだろうか。 初めてやり取りした日付を見つめる。 「慶様⋯⋯⋯」

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