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143.※
眉間に皺を寄せ、それを摘んで唸っている時、松下が言った。
「この時の大河様、とても可愛らしい顔をしていますよね。伶介のことを友達だと思ってくれているからもあるかと思いますが、お母様である姫宮様のことが大好きだからというのも影響がありそうですね」
誰から見てもそうと感じるか。
家に訪れた際にもそのような態度で母親と接しているのを何度か見たことがあるから、そう見えるのもあるかもしれないが。
「そうだな。⋯⋯私にはそういう顔をなかなか見せてくれない」
「言葉が過ぎますが、仕方ないと言える部分もあります。大河様にとって御月堂様は、自分が一番に好きな母親のことを取ろうとする最大の敵なんですから、そうなるのは当然といえましょう。ですが、大河様に良いところを見せたら少しは見直してくれるかもしれませんね」
「良いところか⋯⋯」
自分から話しかけてみたり、母親と同じくらい大好きなハニワモチーフの物を贈ってみたりするが、なかなか素直な反応を見せてくれない。
それら以外の模範的なところを見せれば良いということなのだが、いかんせんたまにしか会わない人間がそのようなところを見せる機会がなかなか訪れない。
愛賀と添い遂げる以前の問題に、どうしたらいいのかと頭を抱えることとなった。
「かっこいいと思えるものを見せればいいのではないでしょうか」
「かっこいいところか⋯⋯」
「筋肉がすごいぞとか」
「それを見せてかっこいいと思えるのか?」
「ハニワに変身できるぞとか」
「それはかっこいいと呼べるのか?」
「怪獣を倒せるぞとか」
「非現実的だな」
「でしたら、姫宮様関係でかっこいいところを見せるのはいかがですか?」
「なるほどな⋯⋯」
唯一参考になりそうな提案ではあるが、愛賀関係でそのようなところを見せられるだろうか。
「かっこいいところを見せましょうよ、将来のお父様」
虚を突かれた。
冗談でもそのようなことを言ってくるとは。
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