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149.※
使えるものならばどんなものでも使うという非情で、同情しない眼差し。
かつての自分もそうであったと思える。
初めて会った時の愛賀が人の顔を見るなり、怯えたような目をしていたからだ。
そんな愛賀も少しずつ顔を見せ、初めて見た時よりも愛らしい笑った顔をよく見せるようになった。
少しでも信用と安心を寄せていると思われる相手のことを守りたい。
「お言葉ですが会長。たとえどんな環境に置かれても関係ないと思われるぐらいに、今の彼を見たら誠心誠意でやり遂げようとしているのがお分かりになるかと思います。それからその虚偽の箇所は恐らく彼の意思ではないと思います」
「よくご存知で。まさかその方と深い関係だというのですか?」
「ええ、そうです。ですから、彼にかかった費用は私個人で払います。それほどまでに覚悟と心を寄せています」
会長が何も言わず見てくる。
心の奥底まで見られているような目に御月堂も見返す。
ここで少しでも目を外したら、怯んだら、言わずにいようとした言葉が嘘だと思われてしまうだろう。
それが本当であると目で訴えるように見返す。
息をするのも喉を動かすのも気づけば忘れた頃。
「⋯⋯互いに時間が必要なようですね。被験体はこの社内の研究棟にある病室にいます。覚悟と心を寄せているというのなら、顔を見せに行きなさい」
「⋯⋯はい」
それで話が終わったとばかりに出入り口で控えていた梅上に促されて、「失礼しました」とやや深く頭を下げた御月堂は会長室を去って行った。
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