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150.※
そのまま梅上に案内されている間、途中で合流した松下に今日の予定をリスケと代役を立てるよう頼み、彼が去った後、頭の中で仕事の今後のことを思案しつつも、それよりも頭を占めているある相手のことを思い馳せていた。
「社長。こちらの病室でございます」
「ああ」
そのまま開けようと引き手に手を掛けようとする梅上に、「私が開けるからいい。お前は戻れ」と言い、「失礼します」と頭を下げ、去って行く梅上を一瞥した後、引き手に手を掛けた。
この中に愛賀が。
先ほどとは違う収まっていた緊張を感じつつ、扉を引いた。
中は至って普通の病室。
開けて目の前にいた看護師と主治医らしき男の目が合うなり、駆け足気味にそばに寄った。
「御月堂社長っ、はるばる御足労おかけ致しました。治験を行なっていた姫宮様が社長を呼ぶように仰いまして⋯⋯」
「話は聞いている。それで容態は」
「熱が40度近くあり、意識の混濁がやや見られます。薬を投与し、その副作用の影響で眠っているようですが、魘されているようで」
「そうか。⋯⋯少しの間、外して貰えないか」
「はい。何かありましたら、ナースコールでお呼びください」
「では、失礼します」と看護師と共に一礼した主治医は部屋を出て行った。
それを見届けて少しした後、ベッドへと足を進めた。
顔が見えた時、息を呑んだ。
真っ赤な顔で息をするのも苦しそうで、眠っているようだが、これでは寝ることでさえも辛そうだと思える様子だった。
顔を歪める。
「愛賀⋯⋯」
熱を出したのは、開発中の薬の副作用だろうか。それとも慣れない環境の中で負担になるようなことをさせたからだろうか。
こんなことになるまで何をさせたのか。
いつから治験をやり始めたのかは定かではないが、その間外に出てここに来ていたはずだ。外に行く時は安野を通じて袋田に護衛兼運転手をするように言っておいていたはず。それなのに、その報告は一切なかった。
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