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167.※御月堂視点

愛賀の部屋から出、コートのインサイドポケットから携帯端末を取り出し、松下にあと二日調整するよう伝え、またポケットに入れた。 病院の時は、容態が安定するまでそばにいると言い、その気になっていたが、大河がいる手前、それを実行するのが難しいことだと気づかされた。 しかし大河だけではない。安野を始め、何人もの世話係が愛賀のことを案じて何かと世話を焼こうとしている。 この機に世話を焼かれてはどうだと愛賀を説得するために言ったが、やはりその判断は良くなかったのかと思えたが、双方の顔が見れただけでも安堵といった顔が見えた。 結果的には良かったといえよう。 とはいえども、そばにいるつもりだった予定を崩され、手持ち無沙汰になってしまったこの状況。今、愛賀のために何をするべきか。 ──姫宮さま何か食べます? ──まだ恐らく食事をなさってませんよね。 そういえば、小口と安野が食事のことを訊ねていた。 そのことで愛賀のためにできることがあるだろうか。 コートを脱ぎつつ、ダイニングに向かった。 「お粥の具は玉子でしょうかね」 「ネギやニラもどうでしょう?」 「シンプルに梅干しで良くないですか?」 安野と小口、それに江藤が台の上に並べられた材料の前で並んで議論を交わしている最中だった。 大河も背伸びをして覗いていた。 「何をしている」 「あ、御月堂様。このような場所に来られるとは。何か御用でございますか?」 「用っていうほどではないが⋯⋯」 「大河さまと同じ理由で手持ち無沙汰といったところでしょう。ですが、ここにいても御月堂さまが手伝えることはないかと」 小口の言う通り、生まれてこの方料理というものを一切したことがないため、台所に来ても意味がない。

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