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175.※姫宮視点
宣言通りに御月堂は二日間看病をしてくれた。
しかし片時も離れずにいようとしてくれたものの、大河がそれを良く思っていなく、乱入してきてはその間に割り込んで看病をしてくれようとしていた。
仕方ない行動とはいえども、何とか貼ってくれようとくしゃくしゃになったシートに触れた時、これはこれで良いかもしれないと自然と笑っていた。
あと一つ、気になる点があった。
それは御月堂を見る大河の目。
以前は恨めしそうに見ていたが、どことなくその雰囲気が和らいでいるように感じた。
この二日間、普段とは違う彼を見たからなのかもしれない、考えが変わったのかと思われる。
「──愛賀。申し訳ないがそろそろ行かねばならない」
「仕方ありません。私も具合が良くなりましたし、慶様は二日間いてくださいました。それで充分です」
微笑みかけると御月堂は少し安堵したような顔を覗かせる。
「慶様、お急ぎのところ申し訳ありませんが、少し時間を取らせてもらえないでしょうか」
「ああ、構わないが」
「ありがとうございます」
笑いかけると、胸に握り拳を置いた。
この二日間、身体の調子が良くなっていく間に考えていたことを頭の中で反芻する。
熱が治まって、治験前のような暮らしをいつまでもするわけにはいかない。あの方が納得してくれるはずがない。
誠意を見せないと。
「熱が完治しましたら、会長に会おうと思ってます」
途端、御月堂は目の色を変えた。
怒りと戸惑いを混ぜた目で姫宮を見ている。
「愛賀、あの時も言っただろう。治験のことは気にしなくてもいいと。もう終わったことだ」
姫宮は首をゆっくりと振った。
「たとえ金銭面に関して負担しなくてもいいという話でも、会長自身が納得なさらないと思います。⋯⋯私という者がいる限り」
「愛賀、そんなことは⋯⋯」
「いえ、きっとこのままではいけないと思うんです」
元々すべきことを放棄した者が図々しくしていたら、良くないと思うのは当然だったのだ。
だから、この機会に改めて姿勢を正さなければ。
御月堂の隣で見合う相手になるために。
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