13 / 104

第13話

視界が反転する。 気付けばソファに倒れ、自分に覆い被さる宗一の顔を見上げていた。 何が起きたのか分からず、間抜け面で彼を見つめる。 「東京へ来て良かったと思ってるけど、君を村に残してきたことはずっと後悔していた。とにかく一度触れたかったんだよ。……こんな風に」 彼はスマホを取り上げると、近くのローテーブルに置いてしまった。そして、白希の小さく開いた口に親指を入れる。 「小さな舌だね」 「んむ……っ」 舌の先端を優しくつままれ、思わず口を開く。その隙に、今度は人差し指が滑り込んだ。噛まないように必死になると、だらしなく唾液が零れてしまう。 喋ることもできず、ただ彼の指をしゃぶる時間が続いた。 子ども……いや、赤ん坊みたい。 無心で指を舐めていると、太腿の間に彼の膝が割り込み、強引に押し上げてきた。 「んうう!」 驚いた拍子に、人差し指を噛んでしまう。しかし宗一は気にせず、白希のシャツのボタンを外しにかかった。 「もう覚えたかな。私以外に触らせたら駄目だよ?」 肌着を捲し上げられ、胸の突起を指でこねられる。朝の続きだった。 男の胸をいじって何が楽しいのかさっぱり分からないが、宗一はぷくっと膨らんだ乳首を舐めた。白希の口から指を引き抜き、ぬれたままもう片方の乳首をこね回す。 彼が相手だから抵抗せずに済んでるんだろう。もし他の誰かに同じことをされたら、さすがに取り乱し、全力で拒絶してる。 だけど彼なら。 「あ……っ」 嫌、なんてとんでもない。“こうなる”ことを望んだ夜もあった。思い出した瞬間全身に火がつき、息が苦しくなった。 あの宗一さんが、自ら自分に触れてきている。 なにかの間違いでないなら、この身体は今までにないほど悦んでいるはず。 部屋の白昼色の照明はとても眩しくて、今している行為を猛烈に批判してるように感じた。ここは彼の家で、リビングで、淫らなことをしていい場所じゃない。 だけど伸びてくる手を振り払うことはできない。 「……白希。怖くない?」 宗一は上体を起こし、心配そうに尋ねる。生理的な涙が零れたが、首を横に振った。 宗一は少し安心した様子で、服の上から白希の股間に触れた。 「あっ!」 「硬くなってる。やっぱり男の子だね」 どこか満足したように、宗一は後ろに下がった。ベルトを手際よく外し、チャックを口で引き下ろす。 「あ……や、宗一さん……」 さすがに恥ずかしくなって、手を伸ばす。けどその手は掴まれ、空いた方の手でズボンを脱がされてしまった。 白希の下着は盛り上がり、中央が変色している。 誰にも見られたことない淫らな姿を、大切な人に見られている。 拷問だ。嫌われたらどうしよう。怖くなって顔を隠すと、上体を起こされた。 「ごめんね、急かして。大丈夫?」 「うっ……ごめんなさい……っ」 ズボンが床に落ちる。依然として恥ずかしい格好のまま、乱暴に目元をぬぐった。 「汚いって、思われたくなくて……」 「何言ってんの。こんなに綺麗で可愛いのに」 宗一は苦笑すると、白希の唇を焦らすように舐めた。 「我慢するのも辛いぐらい。白希を食べたくて仕方ない」 性器の大きさ、形を確かめるように。宗一の掌が、白希の前を包み込む。やがて右脚の隙間から、中をまさぐり出した。 「あぁっ!」 背中を預けた状態で、白希は大きく仰け反る。股を開き、右脚だけ立てた体勢になった。宗一は下着を引っ張り、熱く猛った性器を宝物のように撫でる。 下着を脱いでないから彼には見えてないが、いやらしい水音が羞恥心を大きくする。下着もそうだし、彼の指はぬれてしまっている。 「宗、一さん……や……っ」 「嫌? じゃあやめよう」 振り返って首を振ると、彼は呆気なく手を引き抜き、耳元で囁いた。 「自分で扱いて。白希」 「……っ!!」 その台詞がどれほど相手をどん底に突き落とすか。分かってて言ったとしたら無情だ。 男の前で自慰なんてできない。 だからといって、やっぱり続きをしてほしいとも言えない。崖っぷちに立たされた気持ちで身をよじる。 宗一の手は大きく、とても気持ちが良かった。快感を引き出す手法を知り尽くした動きだ。 本当はもう一度感じたい。でも最後のプライドが甘い誘惑を邪魔する。 「……っ」 心を殺し、自ら熱の中心に手を伸ばした。 だがぬるぬるしていまいちしっかり掴めない。 幽閉されていた時も、誰に教わらずとも自慰はしていた。だがここまで先端がぬれたのは初めてだ。 見られてることも影響してるけど、中々イけない。 そんな白希を見かねて、宗一は彼の下着を引き抜いた。脱ぐ際に白い糸が引いていたが、あまりにいやらしくて、見てないふりをした。

ともだちにシェアしよう!