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 比呂と入れ替わりに、あのネコが隼人の前に現れた。 「ニャァ」 「よく来たね。さっきは、ありがとう」  まるでヒトに話しかけるように、隼人はネコにお礼を言った。  腕を伸ばし、その柔らかな毛皮を撫でようとしながら、バスルームに向かって比呂を呼んだ。 「比呂くん、こっちへおいで。ネコのことを、教えて欲しいよ」 すると今度は、ネコがバスルームへと消えた。  代わりに、比呂がやって来た。 「お待たせ! えっと、あのネコはね……」 「比呂くん、ネコは?」 「え? あ、ああ、ネコね。はいはい」  再び、比呂と入れ替わりにネコが来る。 「ニャァ」 「おや……。比呂くんは?」  素早く走り去るネコの後に、現れる比呂だ。 「隼人さん、何かな?」 「……比呂くん。ネコと一緒に、出て来られないのか?」 「そ、それは。その、あの……」  まさか。  まさかとは、思うが。  隼人の頭には、現実では考え難い思いが浮かんでいた。 「比呂くん。まさか、あのネコは……君自身か?」 「ば、バレたか……!」  比呂は、隼人の目の前で、あっという間に小さなネコの姿に変わって見せた。   

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