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「あ、ふぁ。は、やと、さん。お、おっきぃ……!」  まだ、続く。  まだまだ、奥深くへと挿入ってくる。 「う、くぅ。はぁ、あぁん……」 「大丈夫か?」  ようやく隼人は進みを止め、ささやいた。 「私も、比呂くんが大好きだよ」 「隼人さん」  嬉しい、とかじりついてくる比呂の手は、温かい。 (夢とは思えないような、リアルな感触だな)  これを夢だ、と思っているのは、隼人だけなのだが。  熱い比呂の体内は、挿入る時はゆるやかに迎えてくれたが、いったん繋がると締め付けて来る。 「うん、キツいな。これは、いい具合だ」  隼人は、これまでにベッドの上では絶対に言わなかったような言葉を、口にした。  夢の中の出来事だ、と信じ込んでいるために、やたらと素直になっていた。 『桐生 隼人』を演じている自分は、ここにはいない。  ただ無心に、腕の中で震える比呂を、愛で始めた。

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