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 ゆっくりと腰を退き、弾みをつけて押し入る。  そんな隼人の動きに、比呂は我を忘れて悦がった。 「あぁ、あ! すごい、う、ふぅ、あぁ! や、ヤぁッ、はぁああ!」  中の壁が擦れて、気持ちイイ。  ゴリゴリされて、気持ちイイ。  何度も何度もイッちゃって、気持ちイイ。 「こ、この世で一番、気持ちイイよぉお!」 「いいね、比呂くん。中に出すよ!」 「あ! はぁあ、あ! ひぃあ、あぁああん!」  放たれた隼人の精が、比呂の奥深くに勢いよく当たる。  その刺激は、100年近く生きてきた比呂にとっても、初めての快感だった。 「う、あぁ……ふ……。んぅ、あぅ、はぅ、ふぅ……」 「少し、激しすぎたかな。ごめん」  隼人は比呂の様子をうかがいながら、ゆっくりと去った。 (夢とはいえ、邪険に扱うなんてできないからな)  明るく、楽しく、前向きな、可愛い比呂くん。 (現実では、こんな風に愛し合うことなんて、できないだろうなぁ)  なにせ、敏腕マネージャー・笹山が送りこんで来た、ハウスキーパーなのだ。  裏で彼と連絡を取り合って、私生活を丸裸にされかねない。  だが、疲れ果てて眠ってしまった比呂の寝顔は、愛おしかった。  体を重ねたことで、心の距離も、ぐんと縮まったようだ。 「私も、寝ようかな。何だか、いつまでも目が覚めないし」  夢の中で眠れば、現実世界に戻るかもしれない。  そう考えて、隼人は比呂の隣に横たわった。  だが、瞼を閉じる前に、ベッドサイドの携帯が鳴った。

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