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第九章 ニャァ……ニャァ、ニャァ!

 ネコのあやかしとなり、ヒトと偽って、人間社会で生きてみた比呂。  100年近く、時を駆けてきた比呂。 「ヒトなら、何か良いことあるかな、って思ってたけど。世間の風は冷たかったよ」 「比呂くん。君は、100年も前から、生きてきたのか?」  隼人は、ざっと100年前の歴史を思い返した。 (確かその頃に、世界恐慌が発生したはずだ)  世界の経済をけん引していた大国で、株価の大暴落が起こった。  それが引き金となり、ほかの国々にも深刻な不況をもたらしたのだ。  隼人の生まれたこの国も、例外ではなかった。  海外向けの貿易ができなくなり、たくさんの会社や銀行が倒産していった。 (そして、この国は。軍国主義へと傾いて行ったんだ……!)  比呂は、そんな時代に生を受け、苦難の歴史を歩み始めたのだ。

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