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第十一章 トラブル続きのインタビュー!

 優等生。  良い人過ぎる。  面白みがない。  若手ライター・紫織から放たれた、棘のある言葉。  だが隼人は、それらを笑って受け流した。 『吉永さんも、そう思われますか。参ったな。実は、私のマネージャーにも、同じように言われました』  こう言って、大人の余裕でかわした。  そんな隼人の言動に、紫織は目を円くした。 (何だ、この男は。思ってたのと、違うな)  今まで、紫織の挑発に乗ってこなかった人間は、いない。  清純なアイドルでも、道を究めたアスリートでも、毒舌で名高いアナウンサーでも。 (俺の前では、素をさらして見せたのに)  紫織は、人間の本音を暴く術に長けていた。  そして、心の最も柔らかい部分を引きずり出しては、その手で書いて公表してきた。  こいつの心を、引き裂きたい。  そこから、何色の血が流れだすのか、見てみたい。  彼は隼人に対しても、そんな毒々しい好奇心を剝き出しにして、襲い掛かったのだ。

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