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意外な展開に、戸惑っている紫織。
その部下の非礼に、慌てて何度も頭を下げる本多だ。
「真に申し訳ございません。しっかり、教育し直しますから!」
「いえ、彼の意見はもっともです。ですから私は、このたび動画配信にチャレンジしたんですよ」
観ていただけたかなぁ、などと、さりげなく話題を逸らし、場の空気を変えようとする隼人に、本多は救われる思いだった。
オーバーにうなずいて、両手を打ち鳴らすと、ことさら明るい声を上げた。
「もちろん拝見しました! 桐生さんの新たな一面、話題になってますよ!」
そのお話を、もう少しだけうかがっても、よろしいですか?
こんな風に、本多は流れに乗った。
インタビューを続行し、隼人に無礼を働いた埋め合わせをしようと思ったのだ。
彼の最新の情報を、高評価する記事を書くために。
だがしかし。
「でも。あの映り込んだ雑種猫、小汚かったですよね」
「よ、吉永くんッ!」
またも紫織が、隼人の神経を逆なでするようなことを、言ってきたのだ。
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