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第十二章 比呂くんがついているから

 隼人へのインタビューが始まって、早くも2時間近く過ぎていた。  時刻は、18時を少し回ったところだ。 「では、桐生さん。本日は、どうもありがとうございました」 「こちらこそ。とてもいい仕事をさせていただきました」  本多と隼人が、そんな終了の挨拶を交わしている横で、紫織は壁の時計を見て舌打ちした。 「私はいつも、定時の17時には退勤する主義なんですけどね」  最後まで口の悪い部下に、本多はいら立ちをあらわにした。 「これくらい、残業の内に入らないよ!」 「パワハラのつもりですか、それって」  本多が息を吸い込み、何か言い出す前に、隼人は間に割って入った。 「すみません。私が途中で、電話なんかしたばかりに遅くなってしまって」 「とんでもない! 定刻通りに取材を始めなかった、こちらの落ち度ですから!」  本多の気が、こちらに逸れたことを見計らって、隼人は紫織に声を掛けた。 「吉永さん。良かったら、私の車で一緒に出ませんか?」 「えっ? 桐生さんは、マイカーでここへ来たんですか。自分で運転して?」  やれやれ、と紫織は肩をすくめた。  その仕草に、本多はぎょっとした。  この若手が、まだ何かやらかすというのか!?

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