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目をぱちぱちさせる紫織にグラスを手渡すと、比呂は笑顔で酒を注いだ。
「はい、どうぞ。まずは、乾杯から」
心の中に、ぐいぐい入って来る比呂に、紫織は毒づいた。
「乾杯? 一体、何に?」
それでも比呂は、怯まなかった。
「もちろん、隼人さんと吉永さんの出会いに、だよ」
すかさず、笹山が合の手を入れる。
「おいおい、比呂くん。私は?」
「あ、そうか。じゃあ、ついでに笹山さんも!」
「ついでに、だなんて。ひどいなぁ!」
とにかく明るい雰囲気だ。
紫織は、落ち着かなくなってきた。
(こんなアットホームな空間は、苦手だ)
しかし、乾杯の声は賑やかに上がった。
彼も、このパーティーの輪に加わってしまった。
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