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 今は酔い潰れて、眠っている紫織。  隼人は彼に毛布を掛けてあげながら、比呂に話した。 「吉永さんには、厳しい言葉をたくさんもらっちゃったけど」 「ひどいよね、全くもう!」 「それでも、平常心で受け止めることができたのは、比呂くんのおかげだよ」 「えへへ。僕、倍にして言い返したもんね」  いや、そうじゃない。  隼人は、比呂に向き直った。 「君が、傍にいてくれたから。比呂くんの存在が、私を強くしてくれたんだ」  隼人の表情は、柔らかだ。  だが、その言葉には、強い響きがあった。  比呂への感謝とともに、深い愛情が込められていた。 「比呂くん。これからも、ずっと一緒にいてくれるかい?」  不意打ちの甘やかな言葉に、比呂の頬は熱くなった。  まるで酔ったかのように、脳が痺れた。 「いいの? ずっと、一緒にいても」 「私の方から、お願いするよ」 「うん……うん!」  比呂の心は、喜びに満ち溢れた。  晴れやかに、澄み渡った。

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