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「ははは! 比呂くんの、負け!」
「もう! 隼人さん!?」
ぷぅと頬を膨らませる比呂を、隼人は優しく抱き寄せた。
「ごめん、ふざけ過ぎた。でも、何だか今夜は、比呂くんに思いきり甘えたいんだ」
「……隼人さん?」
「今日は一日、たくさんの批判を受けたよ。それが、想像以上に辛かったんだ」
これまで、こんなことは無かった、と隼人は言う。
評論家に酷評されても、ネットで叩かれても、平気だったのに。
「なぜか吉永さんの言葉は、一つひとつ胸を抉るんだ。これが、傷つくってことなんだね」
比呂を腕の中に抱いたまま、隼人は独り言のようにつぶやいている。
彼の悲しみに、比呂は胸が痛くなった。
そして、紫織を呪った。
(おのれ、吉永! 隼人さんをいじめる奴は、許さないよ!)
だが隼人は、紫織を悪くは言わなかった。
「吉永さんには、本当に感謝するよ。おかげで、人の心が解った。心の痛みを、知ることができたんだ」
そして、比呂に救いを求めてきた。
彼のぬくもりを、欲してきた。
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