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「比呂くんに、心の傷を癒して欲しいんだ」
このままじゃ、朝に気持ちのいい笑顔なんて、できやしない。
そう、隼人は訴えた。
「それに……」
「それに?」
まだ、何かあるのかな。
ようやく呼吸が整った比呂だが、体の疼きはおさまらない。
(理由なんか、いいのに。僕とエッチしたいなら、それだけでいいのに)
こんなことを考えて、比呂は隼人の無防備な性器に触れようと腕を伸ばした。
それを知ってか知らずか、隼人は穏やかに告げた。
「好きだ。比呂くんを愛しているという気持ちを胸に、君と一つになりたい」
「隼人さん!?」
あ、愛してる、って!
正体がバレた時、大好きだ、って言ってくれたけど、まさか、そんな!
(愛してる、とか! すごすぎない!? これって、夢じゃない!?)
動揺する比呂に、隼人は優しく声を掛ける。
「前に比呂くんを抱いた時は、情けないことに『これは夢だ』なんて思ってたんだよ」
だから、今度は。
「だから今度は、ちゃんと愛する人として、比呂くんと結ばれたい」
「隼人さん! 僕……僕、嬉しい!」」
比呂は、夢中で隼人の首に腕を回し、キスをした。
唇だけでなく、頬に、顎に、額に、瞼に、所かまわずキスの雨を降らせた。
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