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 僕は、住み込みのハウスキーパーだ。  隼人さんと、同棲してるんだ。  そんな事実を言おうものなら、ライターである紫織に何と書かれるか知れない。 (悪意に満ちた文章で、隼人さんのことを貶めるよね。きっと!)  警戒し、視線を逸らした先には、テレビが見えた。 「あ! 今、何時!?」 「5時57分」  大変だ、と比呂はテレビの前に走り、電源を入れた。  これから、隼人が映るのだ。  ぜひ観ようと、正面のソファに正座した。  短いCMが流れた後、テーマ曲と共にタイトルロゴがテレビ画面に現れた。 『ウィークエンド・モーニング』  土曜日だけの、特別ニュース番組だ。  一週間を振り返り、印象的だった報道を深掘りするコーナーも、設けられている。  隼人は、その深掘りコーナーのゲストコメンテーターとして、出演依頼が来たのだ。 『巧くいけば、レギュラー出演も見込めるから! 桐生さん、何か良いこと喋ってね!』  こんな風に、隼人のマネージャー・笹山が鼓舞していた。  隼人にとって、大切な仕事だと、比呂も承知していた。

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