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『困ってるんですよね。何度注意しても、聞いてくれませんし』  こう語るのは、近隣住民たちだ。 『鳴き声が、うるさいんですよ』 『家の周りでオシッコしたりするから、臭いがね』 『衛生的に考えても、良くないですし』 『避妊とかしてないんで、ネコが増える一方でして。どうしたもんかなぁ』  こんなインタビューが終わり、キャスターたちにカメラが戻った。 「かわいそう、という理由で、野良猫にエサやりを行っている方がいます」 「こういった無責任な行動は、近隣住民とのトラブルにも繋がりますね」  そこで、前回同様に隼人へと話が振られた。 「桐生さんは、いかがお考えですか?」 「桐生さんが、家族として親しむネコちゃんですが、人間が迷惑している事例もあります」  まるで、私が責められているようだ、と隼人は感じた。  しかし、その顔は穏やかだ。  悲しいネコの姿に、苦悶の表情を見せていた隼人では、なかった。  応えはすでに、心の中から湧いていた。 「私はまず、このご婦人に寄り添うことが大切かと思います」  キャスターは、驚いた様子だった。

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