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祖父から聞いた、曽祖父の話。
これを隼人は、できるだけ平易な言葉を使って、解りやすく視聴者に訴えた。
「私の、ひいおじいさんの体験談です。彼がまだ若い頃に、この国は戦争を始めました」
世界へ植民地を求めて、侵略を始めた、この国。
当初は戦勝に沸いたが、その時からすでに敗戦の足音は聞こえていた。
完膚なきまで叩きのめされ、国土は焼け野原と化した。
住む場所を、食べるものを、着るものを、失った。
大切な人の命さえ、失った。
「ひいおじいさんは兵隊として、海外に渡っていましたが、終戦後に故郷へ帰りました」
帰ると言っても、その道のりは険しかった。
戦友たちと共に励まし合いながら、戦勝国が用意した復員輸送艦に、何とか乗り込んだ。
しかし、自動小銃を構えた見張りに、怯えた。
ひどい船酔いに、悩まされた。
そして、いつも空腹だった。
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