104 / 229

4

 祖父から聞いた、曽祖父の話。  これを隼人は、できるだけ平易な言葉を使って、解りやすく視聴者に訴えた。 「私の、ひいおじいさんの体験談です。彼がまだ若い頃に、この国は戦争を始めました」  世界へ植民地を求めて、侵略を始めた、この国。  当初は戦勝に沸いたが、その時からすでに敗戦の足音は聞こえていた。    完膚なきまで叩きのめされ、国土は焼け野原と化した。  住む場所を、食べるものを、着るものを、失った。  大切な人の命さえ、失った。 「ひいおじいさんは兵隊として、海外に渡っていましたが、終戦後に故郷へ帰りました」  帰ると言っても、その道のりは険しかった。  戦友たちと共に励まし合いながら、戦勝国が用意した復員輸送艦に、何とか乗り込んだ。  しかし、自動小銃を構えた見張りに、怯えた。  ひどい船酔いに、悩まされた。  そして、いつも空腹だった。

ともだちにシェアしよう!