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『隼人さん、お疲れ様。 寝坊して、ごめんなさい。 朝ごはんまで用意してくれて、ありがとう! 隼人さんのテレビ、リアルタイムで観たよ! すっごく良かった!! 僕たちネコのこと、真剣に考えてくれてありがとう。  感想とか話したいけど、今夜も遅いのかな?  何時くらいに帰れるか解ったら、連絡してね!』 「比呂くん、ライブで観てくれたんだな」  すぐに届いた、比呂からのお返事メール。  隼人はそれに、胸が弾んだ。  やけに嬉しく、気持ちが晴れる。 「何だか、小学生がラブレターをもらったような気分だ」  すでに車内で、運転中の隼人だ。  しかし、すぐにでも比呂の声が聞きたくなった。  その姿を、見たくなった。 「いけない。仕事、仕事」  さすがに、撮影をすっぽかしてしまうわけには、いかない。  そこは、ぐっと我慢して、隼人はスタジオのあるビルへ向かった。  ただ、頭の中では、もう帰宅した後のことなど考えている。  比呂と楽しく過ごす自分を、妄想している。  脳内をお花畑にして、隼人はファッション誌の撮影に臨むこととなった。

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