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「落選だと、残念じゃないの? 笑ってても、いいの?」
「いいんだ。映画の撮影に入ると、少なくとも一年間は、スケジュールが過密になる」
そうなると、比呂くんとこうして、ゆっくりできないじゃないか。
ソファに掛けた隼人の体は、比呂に密着している。
肩を抱き、その頬に手のひらを当て、優しく微笑んでくる。
「隼人さん……。僕、嬉しい。すごく、嬉しい……!」
もう一度、二人は熱いキスを交わした。
身も心も、ぴったりと一つに重ねた。
(あぁ。このまま、エッチしちゃいたい!)
(さすがに、シャワーを使わないと。待てよ。昨夜みたいに、バスルームで……)
比呂と隼人、それぞれの思惑が入り乱れる中に、異質な声が響いた。
「第三者が、同じ屋根の下にいるというのに。イチャイチャしやがって」
隼人と比呂は、その声にピタリと動きを止めた。
「え……?」
「あ……!」
声の主は、寝室からようやく出てきた、紫織だった。
「よ、吉永さん!」
「吉永さん、まだ居たの!?」
「居て、悪かったな」
しまった、と隼人は自分の軽はずみな言動を、猛省した。
(比呂くんとのことを、記事にされるかもしれない!)
警戒しながら、隼人は紫織を見ていた。
彼の出方を、ただ待った。
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