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「え? 解ったの? 何で吉永さんが変なのか、解っちゃったの?」 「いや、全く解らない」 「もう! 隼人さん!?」  バカにされたと思って、比呂はこぶしで隼人をポカポカ叩いた。 「あぁ、ごめん! いや、もう後は、彼の口から聞くしかないよ」 「むぅ……」 「だから、ちょっとシャワーを浴びてくる。吉永さんの言うようにね」  うん、と比呂はうなずいた。  確かに、そうだ。  紫織がリビングから去る前の、妙に優しい態度。  今は、それに賭けてみるしかない。 「もしかすると。吉永さん、僕たちのこと内緒にしてくれるかもしれないしね」 「そういうこと」  納得がいった比呂もまた、ソファから立ち上がった。 「隼人さんのルームウェア、用意しておくね。お風呂上りに、ビールとか飲む?」 「ありがとう。ビールは、やめておくよ。それより……」 「何かな。他に、僕が準備しておくこと、あるかな?」 「いや……今夜は、一緒に入らないのかな? お風呂」  もう一度、比呂にこぶしでポカポカ叩かれ、隼人は笑いながらバスルームへと入っていった。

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