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 強く、長く、そしてなぜだか、甘い。  そんな隼人からの射精を、比呂は全身で受け止めた。 「隼人、さん……」 「比呂くん……」 「あ、ダメ……。油断したら、意識もってかれそう……」 「いいよ。そのまま眠っても」 「いけないよ……。体、拭かなきゃ、ならないし……」 「私がやってあげるから」  一つになったまま、二人はこんな会話を楽しんだ。  幸せな、笑顔で。  悦びの余韻を、味わった。  やがて、本当に眠ってしまった比呂から身を離すと、隼人は彼の体を拭いた。  きれいに清めて、次に自分の体を拭いていると、彼の体が縮んでしまった。 「比呂くん? ……あらら」  比呂はヒトの姿から、ネコの本性へと変わってしまったのだ。  その小さく柔らかな体の傍に、隼人は横になった。 「ふふっ。可愛いなぁ」  紫織は、小汚い、などと言うが、そのサビ柄の毛皮は、どんなネコより美しいと、隼人は思う。  短い尻尾も、キュートだと思う。 「比呂くん。愛してるよ」 「ニャァ……」  比呂の隣で、隼人も瞼を閉じた。  素敵な夢を、見られそうだった。

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