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第二十九章 準備は良いか!

「まずは、どうやって一ヶ月もの長期休業を取るか、なんだ」  隼人は、比呂が朝食に焼いてくれたパンケーキに、蜂蜜を落としながら言った。 「隼人さん、人気者だから。お仕事、いっぱいなんだね」 「先延ばしにできそうな依頼を、まずはチェックしてみようかな」  だがしかし。  それ以前に、クリアしなければならない問題があった。 「……笹山さんに、どうやって切り出そうか?」 「猫又の吉永さんから頼まれました、なんて言えないよね。絶対に」  休業するには、まず敏腕マネージャー・笹山を説得する必要がある。  隼人と比呂、二人でパンケーキを頬張りながら、いろいろと考えた。 「祖父が危篤、ということにしたら、どうだろう」 「レポーターが来て、元気なお爺ちゃんの姿を映しちゃったら、バレるよ」 「私が急病になった、ということにしたら、どうだろう」 「万が一バレたら、信用ガタ落ちだよ?」 「いっそ、正直に話してみたら、どうだろう」 「今度は逆に、病院に連れていかれるよ」  うぅん、と隼人は唸った。  笹山とは、長い付き合いだ。  信頼関係も厚いし、彼を欺くようなことは、なるべくしたくない。  そこへ、比呂が思いもよらない提案を出してきた。

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