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着替えに、オーラルケア用品に、充電ケーブル。
旅の準備を少しずつスーツケースに収めながら、比呂は隼人に話しかけた。
「ね、隼人さん。吉永さんの様子、何か変じゃなかった?」
「比呂くんも、そう感じたかい? 私もなんだ」
隼人は祖父に宛てたメールをしたためながら、うなずいた。
「どこが変、とは言いにくいんだけど。こう、覚悟を決めてるような落ち着きがあった」
「うんうん。そんな感じ」
心に定めた決意が、あるのだろうか。
そんな話をしていると、隼人の携帯が鳴った。
「あ、やっぱり」
「誰から?」
「おじい様からだよ。メールで構わない、って書いたんだけどなぁ」
隼人は、すぐに通話を繋いだ。
「もしもし、隼人です。ご無沙汰しております」
『隼人。急に、訪ねてもいいか、なんて。何かあったのか?』
「久しぶりに、おじい様にお会いしたくなって。それで」
『友人も同行、とは?』
「構いませんか? 職業がライターで、おじい様に色々とお話しを聞きたい、といってるんですが」
祖父は、賑やかな方が楽しいので、それは大丈夫だ、と言ってくれた。
ホテルに宿泊する、との隼人の言葉には、猛反発したが。
「おじい様は、ご自分がおもてなしをする気で満々だよ」
「隼人さんの、おじいちゃん。早く会ってみたいな!」
思惑はそれぞれにあったが、旅立ちの日はついに決まった。
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