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第三十一章 賑やかって良いことだ!
隼人の車に三人で乗り込み、街を出て高速道路を飛ばした。
いくつかのインターチェンジを経由し、いくつかのサービスエリアに立ち寄った。
「……意外、だったな」
紫織は、つぶやいた。
「何が、ですか?」
目の前には、嬉しそうに地方の名産を頬張る隼人がいる。
頻繁に休憩を取って、いろいろな名物を手にする。
そんな提案を真っ先に挙げるのは、隼人だ。
彼の行動に、紫織は首を傾げていた。
(くそ真面目な、桐生のことだ。ろくに休みもしないで、目的地へ一直線、と思っていたが)
疲れた心身での運転は、危険だ。
頃合いを見て、紫織はドライバーを交代する心づもりでいたのだ。
(だのに。何だ、このはしゃぎようは)
比呂と一緒に、やたらと笑顔でお喋りをする。
オーディオで音楽を流し、朗らかに歌う。
サービスエリアで、記念写真を撮る。
まるで、遠足を楽しむ子どものようなのだ。
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