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 高速を降りて、隼人はそこに懐かしい風景を見た。  建物や店舗などは、変化した部分もある。  しかし、この国道からバイパスへ入って、そして。 「そして、ここを右折。あ、右折レーンが、できたんだ。これは嬉しいなぁ」  坂道を登ると……。 「さあ、着いたよ!」 「隼人さん、門のところに誰か立ってる。おじいちゃんじゃない!?」 「おい、危ないな。おじいさん、車の真後ろで誘導を始めたぞ」  三人で、わいわい言いながら、何とか車庫入れをした。  車を降りると、張りのある声が出迎えてくれた。 「よく来たな! 首を長くして、待ってたぞ!」 「おじい様。お出迎え、ありがとうございます」  久々の再会を喜んだ後、隼人は祖父とは初対面の二人を紹介した。 「こちらは、吉永さん。電話でお話しした、私の友人です」 「初めまして。吉永 紫織と申します。よろしくお願いします」 「そしてこちらが、比呂くん。えっと、私の……大切な人です」 「え!? あ、安達 比呂です。お世話になります」  うんうん、と数回首を縦に振り、祖父・桐生 達夫(きりゅう たつお)は笑顔だ。  もう83歳の高齢だが、背筋がピンと伸びた、若々しい印象だ。  顔立ちは隼人の祖父だけあって、凛々しい上に品がある。 「外で立ち話なんか、よそよそしい。さ、早く家へ上がりなさい」  連れの二人を、明るく受け入れてくれた祖父に感謝しながら、隼人は門をくぐった。

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