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「無事に決まってるじゃん。おじいちゃんや隼人さんが、こうして今を生きてるんだから」  網にこびりついた、焦げた餅を落としながら、比呂は気楽に言った。 「簡単に言うな。辛い思いをなさったのではないかと、気が気じゃないんだ」  紫織は比呂に、そう訴えた。   達夫へのインタビューは、いつもこんな具合で、なかなか進まない。 焦りの色が見え始めた彼に、隼人は提案した。 「今度は私が、お墓参りに行きたいと、おじい様にお願いしてみましょうか」 「……そうだな」  できれば紫織は、英介の全てを知った後に、墓前で挨拶をしたかった。  その方が、語り掛けることも増えると思っていたからだ。 「お墓の前だったら、おじいちゃんも色々お話ししてくれるかもしれないよ?」 「比呂くんの言う通りですよ」  紫織は二人の言葉に背を押され、まずは墓参りに行くことを決めた。

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