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第三十四章 変化
『そんなに長くいるのなら、もうお客様扱いはしないぞ!』
こう宣言した、祖父・達夫。
翌日さっそく、隼人は仕事を言い渡された。
「隼人。庭の草むしりをしなさい」
まぁ、仕方が無いか、と心の中で苦笑いの、孫だ。
ところが、だ。
「吉永さん、将棋はご存じかな?」
「はい。強くはありませんが」
「では、食事が済んだら一局お願いしたい」
「喜んで」
私は、草むしり。
吉永さんは、将棋のお相手。
「おじい様。あまりに待遇が違いすぎませんか?」
「ん? 何のことかな?」
やれやれ、と肩を落とす隼人に、比呂が明るく声を掛けた。
「隼人さん。草むしり終わったら、僕が甘いぜんざいを作ってあげるから!」
比呂は、達夫に言われるまでもなく、家事一切を引き受けると申し出ていた。
高齢とはいえ、身の回りのことは全て自分で行っている、達夫だ。
それでもやはり最近は、体力が落ちたと痛感していた。
そんな中、比呂の助けはありがたかった。
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