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「そうと決まれば。まずは、笹山さんに連絡だ」
隼人は、さっそくマネージャーの笹山に電話を入れた。
この一ヶ月間の動向は、彼にきちんと伝えていた。
本日、ようやくマンションに帰ることも、知っているはずだ。
案の定、コール一回で、笹山は通話を繋いできた。
『もしもし! 桐生さん、大丈夫なの!? 大丈夫だよね!?』
「笹山さん」
『何かこう、心身に不調を感じたりしてない? もう、吹っ切れたのかな!?』
「ありがとうございます。ご心配おかけしました」
隼人は笹山に『自分を見つめ直す旅』は、きれいに終了した、と伝えた。
「電話で話すと長くなりますので、詳しくは後ほど。ただ、今の私は、とてもサッパリしています」
『そう? 良かった』
「明日からまた、バリバリ活動を始めますよ。動画配信も、続けます」
『いや、ぼちぼちでいいから! 仕事も、ちゃんと選ぼう。ね?』
どうやら笹山には、すっかり病人扱いされている、隼人だ。
苦笑しながら、スケジュールを擦り合わせた。
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