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第四十二章 ヒトとネコのあやかしと
「私はヒトに姿を変えているが、その正体はネコのあやかし・猫神なんだよ」
「えぇえッ!?」
「ウソぉお!?」
青原の衝撃的な発言に、隼人と比呂は、まず驚いた。
次の行動は、二人で大きく異なっていたが。
「猫神様―!」
「待つんだ、比呂くん!」
憧れの猫神に会えたということで、比呂は感激で青原に抱きつこうとした。
しかし隼人は、それを急いで止めたのだ。
彼は、比呂より慎重だった。
「青原さん。あなたが本当に猫神様だという証明が、できますか?」
「隼人さん、神様に対して、失礼だよ!」
「いやいや、比呂くん。桐生さんが疑うのも、無理はない」
青原は、嫌な素振りも見せずに、笑顔だ。
そして体をひとつ揺すると、大きなネコに変わって見せた。
雪のように真っ白な毛皮が、神々しい。
左右で色の違う目さえも、霊妙な力を訴えてくる。
「猫神様!」
比呂はもう、その場から動くこともできずに、ただ両手を合わせて猫神を拝んだ。
「青原さん、あなたは……」
隼人も、これには納得せざるを得ない。
(青原さんは、本当に猫神様だったんだ)
大きくうなずく隼人を確かめた後、青原はヒトの姿に戻った。
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