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第四十三章 変わらないよーだ!
『桐生 隼人も、いずれは老いる。そして、命尽きる』
青原に指摘され、比呂はとまどった。
隼人がいなくなっても、彼はネコのあやかしとして、生き続けなければならない。
この悲しい現実に、比呂は悩んでいた。
しかし、これは大変デリケートな問題だ。
できれば、目を逸らしておきたい、重い案件だ。
だが、青原は。
猫神は、問いかけた。
「それでも比呂くんは、幸せかい?」
「僕は……僕は……」
即答できない比呂に、青原は重ねて言った。
「君は、100年近く生まれ変わりを続けて、徳を積んできた。今の寿命を終えれば、念願の猫神になれるよ」
「……それ、ホント?」
本当だ、と青原はうなずいた。
「願い通り、多くの可哀想なネコたちを、救うことができるようになるだろう」
「うん……」
猫神になることは、比呂の悲願のはずだ。
だのに彼は、浮かない顔だ。湿った声だ。
隼人は、そんな比呂の姿に、いたたまれなくなった。
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