211 / 229

第四十三章 変わらないよーだ!

『桐生 隼人も、いずれは老いる。そして、命尽きる』  青原に指摘され、比呂はとまどった。  隼人がいなくなっても、彼はネコのあやかしとして、生き続けなければならない。  この悲しい現実に、比呂は悩んでいた。  しかし、これは大変デリケートな問題だ。  できれば、目を逸らしておきたい、重い案件だ。  だが、青原は。  猫神は、問いかけた。 「それでも比呂くんは、幸せかい?」 「僕は……僕は……」  即答できない比呂に、青原は重ねて言った。 「君は、100年近く生まれ変わりを続けて、徳を積んできた。今の寿命を終えれば、念願の猫神になれるよ」 「……それ、ホント?」  本当だ、と青原はうなずいた。 「願い通り、多くの可哀想なネコたちを、救うことができるようになるだろう」 「うん……」  猫神になることは、比呂の悲願のはずだ。  だのに彼は、浮かない顔だ。湿った声だ。  隼人は、そんな比呂の姿に、いたたまれなくなった。

ともだちにシェアしよう!