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 お好み焼きは美味しかったが、その匂いがなかなか体から離れてくれない。 「これはもう、お風呂に入るしかないな」 「紫織さんと、すき焼きパーティーした時のこと、思い出すね」  そんな風に言いながら、隼人と比呂は、バスルームに飛び込んだ。  シャワーを浴びて、体と髪を洗った後は、広いバスタブに二人で浸かった。 「……まさか、隼人さん。邪なこと、考えてないよね?」 「比呂くんこそ、どうしたんだぃ? ここが何だか、勃ってきてるけど」 「は、隼人さんが! 僕の胸を弄るから!」 「弄ってないよ。少し、かすっただけだよ」  背後から抱かれている比呂は、隙あらば乳首を探ってくる隼人の手を、つねった。 「痛い痛い、比呂くん!」 「大げさだよ!」  ぷいっと横を向いて、比呂は宣言した。 「今日は、お風呂エッチ嫌だ」 「えぇ……」 「憐れな声、出さないでよ」 「だって」  比呂の赤くなった頬は、湯のせいだけではないだろう。  はにかんだように、おねだりしてきた。 「ベッドで、ちゃんと愛し合いたいな、なんて思ったりして」 「比呂くん!」  バシャバシャと、隼人は湯を蹴立てた。  その白い体を、しっかりと抱きしめた。 「隼人さん、好き……」  比呂の方から重ねてくれた唇は、熱かった。  昂る心を表すように、熱かった。

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